昨年大学選手権後記事振り返り2

昨年シーズン終了時の記事をいくつか旧ブログから持ってきて振り返り

・早稲田ラグビーは弱体化していない
早稲田ラグビーにとってはワーストの記録である。
今年の対抗戦は4位扱い。帝京、東海には近年こてんばんにやられ、もう早稲田ラグビーは崩壊した。
氷河期で、終わった。巷では、そんな見方であろうか。

あの頃は良かった。清宮早稲田は、他大学を寄せ付けなかった。
中竹早稲田はクレバーだった。堀越、今泉時代は、、、。
いい始めたらきりがない。

では、本当に近年の早稲田は弱体化して、どん底に落ちているのであろうか。
答えはノーである。大学ラグビーのレベルが加速度的に上がってきているのである。
連覇継続中の帝京を筆頭に、各大学が大学選手権の優勝を目指し必死になっている。
その過程の勢いに若干、早、慶、明がついていけていない。
とはいっても、今年は、慶應、明治は充実している。

今の早稲田は、清宮早稲田の時よりも強い。

今の日本ラグビーは、ナショナルチームが南アフリカを破り、フランスと引き分ける。
その他でもティア2くらいの国相手であれば、ほぼ互角に闘えるわけである。
神戸製綱7連覇、堀越、今泉、清宮早稲田といっていた時代には、ワールドカップで1勝もしていなかった、強豪とやっては100点ゲームに近い試合も散見された。その時代と今の時代とを混同してはいけない。

そんなナショナルチームへ一昨日敗退した東海大からは5人輩出している。
全てがベストメンバーを選んでいなかった大会での代表経験も含まれるが、それでもアジアの相手を全く寄せ付けていない。帝京に関しても同じことがいえる。帝京はOBがトップリーグに進んですぐにチームリーダーになることも近年増えている。早稲田だって例外ではない。

一昔前から比べて圧倒的にレベルが上がっている、トップリーグの中堅どころであれば、帝京や東海は平気で土をつけるチームにまで登り詰めている。神戸製綱が7連覇していた時代、今の帝京や東海が大学の代表であれば、日本選手権は全て学生が勝っていたであろう。

食事やトレーニングも現代的なものが取り入れられ、身体もトップリーグの選手と変わらない。

そんな状況に、早稲田はついていけず、多少の遅れをとっているわけである。

ただ、今の3年生以下は、身体もおおきいし、大舞台での経験も積んできていて、精神的にもタフである。
上級生になれば、東海の野口君や昨年の帝京松田君のように代表に絡んで、ワールドカップに出場していてもおかしくない。

決して、早稲田ラグビーは弱体化しているわけではない。
むしろ着実に山下監督のもと、進化している。

指導者、選手が強くなるために、日本のラグビーや世界のラグビーを研究するとともに、ファンも1つ高いレベルでラグビーを観戦し、良いプレーは良いプレーでリスペクトし、悪いプレーは悪いプレーで課題として時には批判して叱咤激励する。
ひいきするチームの試合のレフリーや選手、対戦相手の批判をしながら見るのではなく、1つ1つのプレーにたいして深く追及する見方をしてみるのはどうだろうか。
いろんな試合を見て、1つ1つのプレーについて、議論しながら楽しむ。
自チームだろうと、相手チームだろうといいプレーには歓声を送る。

ファンもレベルをあげていきたい。

・早稲田ラグビーに必要なこと

東海大仰星も本日試合があり、こちらは河瀬君、長田君は大活躍であった。

河瀬君は前半で3トライを挙げており、スピードに加えて強さもある。
長田君も縦突進で何度もチャンスを演出、トライのお膳立てをしていた。自身も1トライ。
前半5トライのうち、この2人で4トライ。

2人に共通する点というか、東海大仰星全体に共通する点は、一度身体を当てた後の身のこなし、タックルを受けた後のプレーが上手いことである。ダウンボールをするのか、周りを見渡してオフロードでつなぐのか、一度リリースしてさらに拾い上げて走るのか、やはりアタック側の基本はいかに継続するかであるので、相手に絡まれにくいシチュエーションにもっていくにはどういう選択をするべきなのか、ボールキャリアは当然周りのサポートの選手たちの意識も浸透している。

今年の早稲田は倒れて必死にダウンボール、フォローワーは必死に相手を止める。それ以上の選択肢はなかった。一度相手にあたった時の瞬時の身のこなしと判断力、倒された瞬間の身のこなしと判断力は今の早稲田にも必要なことである。

↓オフロードドリルやブレイクダウンドリル、状況判断ドリルなど掲載があり。

・早稲田ラグビーに必要なこと2

ラグビーとあわせて、駅伝もよくみているが来年度主将に決まった清水君が以下のような主将像のコメントがあった。

早稲田スポーツ抜粋↓
一番は強くて背中で見せるような主将になりたいですけど、今のところそういう力は出せていないので、そこが一番僕の理想ではあります。やっぱり力をつけて説得力を持たせるのが大切だと思うので、それが僕の中で理想なんですけど、それだけがすべてじゃないと思っていて。みんなが不満を持って練習に臨んでもらいたくなくて、無駄なのに適当にやっている練習とか、そういうのがあっていらないなら消したいし、納得していないのに合宿をこういう日程でやっているとかだったらどんどん相楽さん(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)と話し合って日程を変えたりとかもしたいし、そういうのを柔軟に対応して、全員がというのは無理かもしれないですけど、少しでも多くの人間が自分の地位を高めるための環境を整えられたら一番いいかなと思います。そこを目標というか、環境整備じゃないですけど、僕に不満があればそいつと言い合えるような主将というか、裏で言われて結局(意見が)通らないみたいなのではなくて、それがおかしいと思うならぶつかってきてほしいというか、みんなが納得して練習できるようなチームにしたいなというのはあります。

これまでは、山下監督はじめ首脳陣の指示をしっかり理解し、遂行する。
そんなラグビーをして、後藤早稲田から脱皮してきていると思う。
間違ってはいないし、チームとして前進もしてきている。

ただ同時に、早明戦や大学選手権の東海大戦で限界が垣間見えてもいる。
プレーのオプションやシステムを落とし込んでもらうのは、もちろん大切であるが、やはり指示を聞きすぎている。これからは、主力でずっとやってきた齋藤君や岸岡君、中野君などが上級生になるので、自分たちの意見をしっかり首脳陣にぶつけながらチームを作っていってほしい。彼らはクリエイティブな考えをしっかり持っていると思うし、そうしたプレーを得意としている。
去年の松田君、今年の小畑君、堀越君他、帝京の選手をみると、一人一人がしっかり考えられているなとつくづく感じる。トップリーグで若くしてチームリーダにつく選手が多いのもうなずける。

齋藤君の東海大戦の終了後のインタビュー記事でもう少しテンポに緩急をつけてやっていきたいがチームとしてはアップテンポが決まり事であったのでと本音があった。

駅伝とラグビーで畑は違うが、チームを強くしたい、自分自身も強くなりたい、そして試合で勝ちたいという思いは共通している。常勝軍団で戦い続けるために日々頭を悩ましているのである。