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ラグビーにおける10番は紛れもなく1番の中心となる。良いプレーも悪いプレーも物凄く目立つ。日本の田村選手もパフォーマンスのむらがかなりあり、良さ、悪さが見えかくれしていた。
世界の強豪には必ず良い10番がいる。
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この早明戦も10番対決で明暗が分かれた。
早稲田の岸岡君、明治の山沢君
試合のはじめ主導権を握ったのは、早稲田の10番岸岡君であった。
キックオフで奥に蹴りこみ、山沢君は自陣から蹴り返すだけ、そのボールを岸岡君ハイパント、いいところに落として明治はとれず、そのままタッチで早稲田ボールラインアウト。右に左にグラウンドを大きくつなぎ、バックスリーがディフェンスラインに出てきて裏にスペースが出来たところを
☆裏へ岸岡君ナイスキックで一気に明治ゴール前へ。
(解説田村さんはタッチに出さずに明治の選手にとらせた方が良かったとさらにレベルの高いプレーを要求していたが、、、)
ここまで前半3分早稲田ペース
ラインアウトから雲山君蹴り出す。
ハーフウェイからラインアウトでまたも
☆齋藤君のスーパーハイパントでキャッチした明治の選手に襲いかかりターンオーバー、明治ペナルティ。今度はゴール前で早稲田ラインアウト。
【ラインアウトミス】
ここで早稲田に一つ致命的なミスが起こる。ラインアウトミス。明治片倉君にスティールされる。
ただ、明治はここでも蹴り出すだけ。
ラインアウトから連続攻撃。右へ左へ展開しているうちはゲイン出来ている。
【ノットリリース】
ここでも小さなミス。岸岡君のパスが少し前に流れ、桑山君が前につんのめるかたちでキャッチしながら、明治のタックルを受けたときに倒れかたが悪くジャッカルされてしまう。
明治ラインアウトから山沢君キック
早稲田連続攻撃、齋藤君裏へキックを山沢君蹴りかえし、ハーフウェイラインからラインアウト。
岸岡君ハイパント。山沢君蹴りかえす。
齋藤君裏へキック。山沢君蹴りかえす。
河瀬君キック。雲山君蹴りかえす。
【先制点に繋がる岸岡君のキックミス】
岸岡君のキックがデッドボールラインを割って早稲田陣に初めて入ってきた。実はここには明治のお見合いしたというミスがあったことでアンラッキーでもあったのであるが。
このあと、スクラムコラプシング。
明治のトライにつながった。
次のキックオフ。
早稲田は深くキックオフ。
明治蹴りかえす。岸岡君ハイパント。
ここで明治キック処理お見合い。
次のプレーでずっとキックを選択していた明治10番山沢君がランを選択。
齋藤君はキックと決めつけてチャージに行ったところ完全に意表をついた。周りのディフェンスもついていけず大きくゲイン。
★明治の10番がゲームを動かした瞬間である。
ここにはいくつか要素があった。
ここに至るまで明治も緊張して固かった。ただ、岸岡君のミスを発端に先制点をとれて少し固さがやわらいだ。
そして、明治のキック処理が思いのほか悪かった、早稲田のハーフ団のキック精度が良かったのでキッキングゲームで優位でなかった。
そうしたことから、早めに切り替えて仕掛けたのが明治の10番であった。
ただ、雲山君は、まだ、山沢君の意識に達していなかった。雲山君が岸岡君と全く同じミスをする。
明治陣スクラムから早稲田展開で、
☆岸岡君ゴール前で明治ディフェンスライン裏へ絶妙なキック。
山村君辛うじてデッドボールライン外へ蹴りだし5メートルスクラム。
☆早稲田スクラムで岸岡君の駆け引き
早稲田スクラムの際にショートサイド側が完全にあまってトライになったのだが、スクラムの際にするするするっとショートサイドへ山沢君が対応できずにあまった。10番対決にこの場面では勝利
(解説田村さんはこの時の山沢君のディフェンスにあり得ないと厳しいコメント)
ここまで、ボールを動かしている方が優位に試合を進める展開。
明治キックオフを早稲田が蹴り返し、そこから展開。やはり、ボールを動かしている明治が完全に早稲田陣で優位に進める。最終的には早稲田オフサイドから3点をとってかえったのだが、よく3点ですんだなとの印象。
次のキックオフで岸岡君は山沢君がいるのと反対側に蹴ることとなる。
その後も、山沢君はもう自陣から蹴らず、回すという選択。ここでも雲山君は次のフェーズで蹴りだしたが。
その後、早稲田ノットリリースから前半終了まで明治が攻め続けることとなる。
早稲田はキックを蹴りかえすのみで、その他の選択肢は無かった。前半10分までの明治のように。
蹴る選択肢しか無かったので明治は完全にカウンターの体制でバックス陣がおそいかかってきて、その中で徐々にフォワードとリンクしてきた。
後半も明治キックオフで山沢君が深く蹴りこんだボールを岸岡君ナイスキックでエリアもどすも、明治ラインアウトを飯沼君ハイパント。
★岸岡君キック処理で山崎君に競り負けて明治一気にゲイン、そのままトライ。
次のキックオフ後は、山沢君はハイパント、早稲田はラックに人数をかけることでなんとかキープしたがその後のラックでターンオーバーからカウンター。スローフォワードで助かったがスクラムでコラプシングそのままモールでトライ。
明治の勢いが一気に押し寄せここで勝負あり。早稲田の選手は下を向いていた。
前半途中、先に蹴りかえすことをやめてペースを変えた山沢君の一つのランが流れを先につくったと印象に残っている。
早稲田が先にこれをやりたかった。そしたら逆の展開も起こりえたとは思う。
明治のフィジカルやブレイクダウンの圧力はすごく、少しでも油断すると絡まれていたので、前半の前半のように全員オプションで推進力を持つ必要があるのであるが。
そして、最後に、後半7-24となった後の岸岡君のフェアキャッチのあともゆっくりと蹴り出した。(山中さんと田村さんは外回せ外と話していた)
それ以降もペナルティーでクイックなどのチェンジペースもなかった。
帝京時代の松田君や中村君なんかは必ず自陣からクイックでペースを変えて、拮抗した状況から流れをえぐりとるように変えていた。そういった動きもしてほしかったなと感じた。
それは、齋藤君のところでも同じで、ためる場面が多くなかなかペースをあげられなかった。
あとは、岸岡君のところで今だにペナルティーキックからのノータッチキックとインプレー中に相手へのカウンターに繋がる中途半端なキックが出てしまう。
やはり10番は良いプレーも悪いプレーも目立つなと。
試合終盤明治は中心選手をどんどん代えてきた。田中監督意地悪、、、(笑)
悔しかった。
次回対戦時は、中野君、相良君が復帰し、丸尾君も本調子になればペネトレータとして機能する人が戻ってくるのでもう一度立て直してほしい。
明治は、慶応、帝京、早稲田とピークではないかと思うくらい良い内容で試合が出来ている。逆に早稲田は、帝京、慶応、明治とそこまで調子がよくない。
ここから大学選手権3試合階段を上がるようにピークをあわせて再戦してほしい。
キーマンは変わらず両10番である。